1月ご紹介分

 

「なまえのないねこ」

竹下 文子:文 町田 尚子:絵 /小峰書店

 

表紙のねこと目が合った。じっと見つめてくるメロン色の目。何かを訴えかけている...

町のねこ達にはみんな名前が付いている。靴屋のねこはレオ。本屋のねこはげんた。八百屋はちび。お寺のねこはじゅげむ。ぼくも名前が欲しいな...

なまえ、なまえ... ぼくが本当にほしいもの。それは...

 

 「だいじょうぶ だいじょうぶ」

いとうひろし:作・絵 /講談社

 

 幼かったぼくが、困ったことや怖いことに出合うたびに、おじいちゃんは手を握って何度も「だいじょうぶ だいじょうぶ」とおまじないをとなえてくれました。

 おじいちゃんのおまじないがぼくに教えてくれたのは、「このよのなか そんなに わるいことばかりじゃないってことでした」

 今、不安で心が固くなってしまいそうな時に、「だいじょうぶ だいじょうぶ」というおまじないが、心にそっと寄り添い、力づけてくれる気がします。

 

 「かえるをのんだととさん」

日野十成:再話 斎藤隆夫:絵 /福音館書店

 

 腹の痛くなったととさんは、かかさんの「和尚様にききなされ」とい

う一声で和尚様に相談に行きます。

 「腹に虫がいるから蛙を呑むといい」と言われたととさんは、蛙を呑みます。それから、蛇、雉、猟師と呑んで、とうとう鬼まで呑んで...。

 節分の季節にぴったりの、大変リズムの良い昔話です。絵もお話とぴったりです。ひと時、こんなお話で心を解放しませんか?

 

 「1つぶのおこめ さんすうのむかしばなし」

デミ:作 さくまゆみこ:訳 /光村教育図書

 

 「どんな時でも、宮殿で宴会を開くのが王様らしいふるまいだと思いこんでいた」インドの王様!! あれ、つい最近の日本にも似た話があったような...。

 賢い娘ラーニが王様の米蔵にあったお米を飢饉に苦しむ人たちに分け与え、王様のケチな心まで入れかえた秘策とは?

 インドらしい描写が美しい本です。

「かあさんをまつふゆ」

ジャクリーン・ウッドソン:文 E.B.ルイス:絵 

さくまゆみこ:訳 /光村教育図書

 

 戦時下の冬。お母さんとぎゅっとして、「大好き」とささやいた時の感覚。エイダはおばあちゃんと猫と一緒に、お母さんの帰りを、静かに、静かに、待っています。

 離れた家族のことを思う、コロナ禍の私たちに寄り添ってくれる一冊です。

「まっくろネリノ」

ヘルガ・ガルラー:作 やがわすみこ:訳 /偕成社

 

 いろんな色したきれいな兄さんたちは、まっくろのネリノとはちっとも遊んでくれない。いつもネリノはひとりぼっち。

 けれどもある日、兄さん達が行方不明に!! 

 さあ、ネリノはどうする? ネリノにしかできない、ネリノだからできる救出方法とは?

 幼児向けの絵本ですがとても奥が深い。自分の存在価値を改めて考える本す。