12月ご紹介分

 

 「ペレのあたらしいふく」

エルサ・ベスコフ:作・絵 おのでらゆりこ:訳/福音館書店

 

服が小さくなってしまった男の子ペレ。あたらしい服を手に入れるためには羊の毛を刈る、すく、紡ぐ、織る、染める、仕立てる…が必要です。家族や近所の人達に手を貸してもらうために「労働」をしながらこれらの行程を経ていきます。欲しいものを手に入れるのも、ものづくりも簡単にはできないことを優しく教えてくれる一冊です。

 

 「ごろべえ もののけのくにへいく」

おおともやすお:作・絵/童心社

 

 一度も「こわい」と思ったことがなく、「こわい」とはどんな気持ちか知りたかったさむらいのごろべえは、もののけ達のすむ国へ旅立ちますが・・・。

 ごろべえが生きていたら、現代の「新型コロナ」を怖がるのかなぁ、と、つい妄想したくなるお話です。もののけ好きの子どもさんにもオススメです。

 

 「教室はまちがうところだ」

蒔田 晋治:作 長谷川 知子:絵 /子どもの未来社

 

 教室が、全ての子どもにとって、安心して、思っていることを言える場所になりますように。発言する勇気をお互いたたえあえる場でありますように。

 そんな空間を作りたいと願う先生の気持ちがこもった一冊です。

 

 「どうやって作るの?パンから電気まで」

オールドレン・ワトソン:作 竹下文子:訳 /偕成社

 

 ゴムってどうやって作るか知っていますか?ガラスは?石鹸は?プラスチックは?チョコレートは?パンは?

 今は工場で大量生産される物たちが少し前にはこんなふうに作られていました。時代が変わっても何からどう作るかという基本は変わっていません。

 「あれ?どうやって作るのかな?」と考え「へー、そうなんだ」と分かる。そんな楽しみが感じられる本です。

「手ぶくろを買いに」

新美南吉:作  黒井健:絵 /偕成社

 

 手ぶくろを買いに町へ向かった狐の親子。でも、昔怖い思いをした母狐は足がすくんで進めません。子狐を一人で買い物に行かせて… 

 無事に帰ってきた子狐を前に「ほんとうに人間はいいものかしら」と何度も呟く母狐。

 誰もが一度は読んだ事があるであろうこの本ですが、新美南吉の文と黒井健の描く絵の融合をもう一度手に取って味わってください。

「父さんはどうしてヒトラーに投票したの?」

ディディエ・デニンクス:作  PEF:絵      湯川順夫、戦争ホーキの会:訳 /エルくらぶ

 

  ミュンヘン近くの小さな町で楽器店を営む両親と障がいを持っている妹と暮らすルディ。第二次世界大戦前のドイツ総選挙で主人公の父はナチ党に一票を入れます。それからのドイツは政権反対者の逮捕、見せしめ、ユダヤ人大量虐殺、障がいのある人の隔離などナチ党に支配されていきます。

 そして戦争が終わり、廃墟となったミュンヘンに兵隊だった父が復員してきます。ルディは父に「父さんはどうしてヒトラーに投票したの?」と尋ねるのでした。

 今を生きる大人も深く考えさせられる絵本です。