ことう文庫がリニューアルオープンしてから1年3か月が経ち、新しい本も入っています。選書する時には、日本の近代児童文学の礎を築いた、石井桃子さんの次の言葉をよりどころにしています。
「一つの本がある時代の子どもに読まれて、また20年、30年たってからの子どもに愛読されるということは、どういうことだろうか。それは、その本が、一つの時代の子どもの求めるものではなく、いつの時代の子どもにも訴えかけるものを持っているということである。つまり、そうした本は、子ども自身が、自分では答えてくれない秘密、子どもの求めるものは、こういうものですよという答案を、私たちに示してくれていることになる。(中略)そこで、多くの子どもの反応を見るチャンスもなく、本はどんどん製造され、消耗されていく。だいじな成長期に、消耗品だけを与えられてすごす子どもこそ災難である。子どもが見たらつぎの日は忘れてしまうというようなものを、ながめて、きのうも今日もすごすとしたら、それは、一つの国にとってまったくたいへんなことなのだが、それを考えないおとなは案外多い。」
(「新しい大人」石井桃子福音館より)
ことう文庫のどの本をとっても、消耗品でなく、子どもの心を育ててくれるものでありたいと願っています。そして、ことう文庫が、「こどもが、たのしく自分の心を育てる術をおぼえるところ」(「新しい大人」石井桃子福音館)でありたいと願っています。